Apple Time   |   ニューヨーク近郊で障害児を育てる親の会

Apple Time スペシャルニーズを持つ子供達と家族の会

日常生活の紹介 小学生

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ダウン症を持つ小学生男子

日本人学校の特別支援学級にスクールバスで通っています。
特別支援級には現在小学生が5名、日本から派遣された先生が2人、補助員が1人、更に必要に応じて応援の先生が1~2人、入ります。子どもによって発達の程度が異なるのでそれぞれのカリキュラムが組まれています。
親学級との交流は、息子の場合、ランチタイム(週3回)、体育(週1回)、夢育タイム(週1回)などがあります。

また、運動会や学習発表会は基本的に親学級での活動となり練習も一緒にやります。遠足や5年生のキャンプ、6年生の卒業旅行なども親学級のお友達と一緒に行きます。
こじんまりとした学校なので、親学級のお友達だけでなくほとんど全ての生徒が息子子の名前を覚えていてくれて親しく声を掛けてくれたり遊んでくれたりしているようで、毎日とても楽しそうに登校しています。

日本人学校にはST(言語療育)、OT(作業療法)といった特別なプログラムはありませんが、居住する学区で評価を受けるとこのようなサービスを受けることができます。
息子は2年ほど、学校を週に1,2回早引きさせてSTとOTのプログラムを受けたことがあります。
米国のセラピストによるセラピーを体験できて大変面白かったのですが、学校生活が充実してきて早引きさせるのが辛くなってきたのと、やはり英語によるセラピーには限界を感じたこともあって、やめました。
今は、土曜日に日本人のセラピストによるコミュニケーション・セラピーを受けています。

放課後は、週に1回、日本人の先生にピアノを習っています。習い始めて半年、ようやく両手で1曲弾けるようになりました。
毎日練習が終わると先生のお宅に「ピアノ、おわりました!」と電話します。障がいのある子どもに教えるのが大変上手な先生です。

また、金曜日には学校のアフタースクールプログラムに参加して野球を、土曜日にはSouth East Consortiumという障がい者を対象とした有料のレクリエーションプログラムでスイミングのレッスンを受けています。30分だけですがマンツーマンのインストラクターがついてとても楽しくレッスンをしてくれるので、毎週待ち遠しいようです。

夏休みにもこのプログラムが行うinclusive campに毎日通いました。これは、自治体が行うレギュラーな子どもたちのためのディキャンプに障がいのある子どもがアテンダント付きで参加するもので、息子には日米バイリンガルのアテンダントがつけてもらえました。
このキャンプのおかげで、毎年夏休みはあっという間に過ぎてしまい、新学期は真っ黒に日焼けして登校しています。

息子は、2歳から4歳までの2年間をカリフォルニアで過ごし、一旦日本に帰国して小学校1年生の時に再び渡米しました。
カリフォルニアでは午前中はスピーチの学校、午後はディケアと、ほぼ毎日英語環境にいました。
彼の場合、まだ短い人生の半分以上がアメリカ生活になります。息子の言葉の発達が大変遅いのはアメリカでの英語環境のせいかと思い、4歳で帰国したときにダウン症児を専門に診ていらっしゃる先生に相談したことがありますが、「関係ありません。」ときっぱり言って頂いて安心しました。
最近では、言葉数も随分増えてきて、今では、どんな環境にあるかよりも、その子どもが持っている能力とかタイミングとか親のかかわり方のほうが言葉に与える影響は大きいのでは、と思っています。

アメリカでは、息子が”Hello!”と声を掛けるとほとんど100%笑顔の反応が返ってきます。こちらでは多くの人々が子どものころから障がいのある人との共存について色々な経験を積んでおり、幸せなことに息子は心ない反応を経験したことがありません。
スーパーに行けば西洋人には”Hello!”、アジア人には「こんにちは!」と声を掛け、キャンプやスイミングのレッスンでは軽やかに言葉の壁を乗り越えたコミュニケーションを見せてくれます。
アメリカでの生活には困難も色々ありますが、親も子も伸びやかな気持ちでいろんなことを一緒に経験し、かけがえのない思い出をたくさん作ることのできる良いチャンスだと思います。



     
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