Apple Time   |   ニューヨーク近郊で障害児を育てる親の会

Apple Time スペシャルニーズを持つ子供達と家族の会

 

支援が必要な人へ ~NY州の場合 5歳~21歳

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スペシャル ニーズをもつ子供、人々が教育を受ける権利は連邦法(Individuals with Disabilities Act of 1997) およびNY州法(NYS Education Law)に明記され、守られています。それぞれ固有なニーズにあったサービスや教育プログラムが無償で受けられることが保障されています。

NY州において特殊教育をうけるためのステップは次のようになっています。

ステップ1
特殊教育サービスをうけるためのリファーラル(referral)をします。

ステップ2
どのようなサービスが必要なのかを判断するため、専門家による査定(Evaluation)が行われます。

ステップ3
査定の結果、特殊教育プログラムやサービスをうける適格性(Eligibility)が決定されます。

ステップ4
個々のニーズにあった年間教育プログラムIEP (Individualized Education Program) を親をふくむCSE (Committee of Special Education) のミーテイングで決定されます。

ステップ4
毎年CSEミーテイングを開き、IEPの進捗状況、達成についての審査Annual Reviewがされ、翌年度のIEP計画を立てます。3年に一度再査定Reevaluationが行われ、特殊教育プログラムおよびサービスの必要性の確認がなされます。


それぞれのステップを詳しくみていきましょう。


Step 1. Referral
Referralとは、子供・生徒が特殊教育サービスを受ける必要があるかどうか決めるために学校区が査定をするよう求める書面をさし、学校区の委員会または校長に提出します。学校の担任、スクール・サイコロジストなどの専門家、小児科医、そして親などが提出できます。


Step 2. Evaluation
Evaluationをするには、まず、親の同意が求められます。通常学校区より同意書が郵送されてくるので、サインをして返送します。最初のreferralの提出から60学業日以内に査定が行われることがNY州法で定められています。

査定に主に含まれるものとしては

  • physical examination健康診断(小児科で行ったものを提出可)
  • psychological evaluation 知能・心理テスト
  • social history 社会性について質問および面接
  • observation of the child in the current education setting 教室内での行動の様子やサイコロジストとの面接
  • speech /language assessment , functional behavioral assessment 言語療法や作業療法、行動療法などの必要性を観察
  • vocational assessment 12歳以上のみ適用。将来の就労についての査定 

査定は子供の第一言語が英語でない場合には、英語に加えて第一言語(日本語)受けることができます。基本的に査定は学校内で専門家により行われ、無料です。


Step 3. Eligibility
査定終了後に、親はCSE ミーテイングに呼ばれ、子供が特殊教育プログラムを受けられるかどうかの判定が伝えられます。また、障害のカテゴリーdisability classificationが決められます。
さらに言語療法speech therapy, 作業療法occupational therapyなどの関連サービスrelated servicesが受けられるかどうか、回数や個人・グループでのセラピーなのかなどの細かい内容も含まれます。
また、placementと呼ばれるクラスの設定や補助aidの有無なども話し合われます。それぞれの内容すべてにコミッテイ・メンバー全員の同意が求められ、署名します。
もちろん親の意見は尊重され、納得できない内容であれば、決定を次回のミーテイングに持ち越すこともできます。


Step4. Individualized Education Program (IEP)
IEPとは、特殊教育プログラムが適用されるべきと判定された子供に対して、そのニーズに最適な、個別の具体的な目標、方法、スケジュールを掲げた年間計画プログラムです。これは委員会 Committee of Special Education (CSE) meetingで決められます。

もちろん親の出席・意見が不可欠です。その他の参加者としては、委員会の議長、学校の特殊教育クラス担任、一般クラスの先生、カウンセラー、スクールサイコロジスト、関連サービスを行うセラピスト、障害児を持つ親の代表などが一般的ですが、前もって委員会に書面にて通知しておけば通訳や親の意見を擁護、主張するadvocateと呼ばれる専門家を招くことも可能です。

CSE ミーテイングの流れとしては、それぞれのメンバーの紹介に引き続き、親に子供の学校および家庭での様子、教育目標、希望などが質問され、次にクラスの担任、一般クラスの先生からの報告、セラピーの状況、将来の就労のための訓練などの話に加え、NY州統一テストの受け方や免除、成績の評価の仕方、バス通学の仕方に至るまで、年間計画が細かに決められていきます。Eligibilityと同様で、委員会すべての同意が求められ、疑問や不安がある場合には、その場で署名する必要はなく、次回の委員会開催を要望できます。

この委員会Committeeで推奨されたIEPはBoard of Educationに送られ、正式に認可されるとその旨の通知とともにIEPが郵送されきます。
いったん決定したプログラムでも実際にやってみて、子供にそぐわない内容であったり、必要ないまたは追加したい内容が出てきた場合はいつでも書面にて委員会の招集を求める権利がNY州法により与えられています。


Step 5. Annual review & Reevaluation
IEPプログラムは4半期ごとに経過報告が送られてきて、目標がどの程度達成できたか、随時わかるようになっています。
通常学年末近くに毎年年間計画の結果報告および翌年度の目標設定のため CSEミーテイングが開かれます。
3年に一度、最初のときと同様の細部に至る査定が義務付けられており、特殊教育プログラムやサービスの継続の有無が見直されます。


以上がNY州における学齢期児童に対する特殊教育の概要です。学校区により細かな点で異なり、州法や規則の改正等などにより変更がありますので、それぞれの学校区にお問い合わせになって確認をしてください。


     
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